バリ島が静まり返る日

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バリには一年に一度、silenceの日というのがあるそうです。

ガイドのフトゥールさんによると、この日は仕事も学校もお休み、
誰もが家の外に一歩も出ないので、バリ島全体が静まり返るとのこと。

「話すのは良いけれど、小さな声で。大声を出してはいけないんだ」
「物は食べていいの?」
「食べないよ。飲み物も飲まないし、テレビも見ない。電気もつけないんだ」
ただし、3ヶ月までの赤ちゃんがいる家では、ろうそくを灯して良いとのこと。

バリのカレンダーによるそうで、来年は3月にその日が来るそうです。

若い人も守るの?
若者はこっそりテレビを見たり、バーに行ったりするのでは?

30代前半と思しきフトゥールさん、
「観光客にも、ホテルから出ないでもらうんだ。文句を言われるけれど、
これはバリのルールだから」

守らない人もいるかも、だなんて、見当違いの邪推でした。
宗教と文化があって、その次に観光がある。

コマラと過ごした夜のビーチ、星空を見上げ、
南十字星は見える?」
「見えるよ。でも見えるのは真夜中だけ」
もうすぐ帰りの飛行機に乗ってバリを発つ。南十字星を見逃してしまった。

「一昨日はジンバランでディナーをしたなら、満月の儀式も見逃したね」とコマラ。
正装をして、お供え物をお寺に持っていく儀式だとか。
「だれもが伝統的な正装をしてお寺にお参りするんだ。見られたら良かったのに」

「だれも?」
「そう、みんな」
「仕事がある人は?」
「たとえばホテルにも、小さいお寺があるんだ。仕事がある人は職場の近くのお寺に行く」

「バリはthousands of templesの島と呼ばれているくらいだからね」とコマラ。
静かな波が寄せていた。

若い人が迷いなく伝統を守る姿は気持ちが温かくなる。
これが時に盲信しすぎて宗教の争いに発展するのかもしれないけれど、
「バリ人は大らかだから、他宗教も受け入れるんです。とにかく争いのない島です」
海の家のエルウィンの言葉を思い出す。

写真はお花とお香を盛り付けたお供え物です。
お店の前にも、道端にも、町中いたるところで見かけました。