グッアイ!

秋晴れの昼休み、所内ソフトボール大会の応援のため、
シェイニーとオーストリア人フローリアンと、グラウンドに向かう。
途中、何か飲み物を、と食堂の売店に寄った。

「これ、オレンジジュース?」
ぽんジュースを手にするフローリアン。
「オレンジではないけど、kind of オレンジよ」と私。
「オレンジではないよ。タンジェリン。オレンジより酸っぱいよ」とシェイニー。

みかん好きのシェイニーは、オフィスの冷蔵庫にも常に袋ごと常備している。
皮をむいて食べる姿に、
「みかんは皮むくのね!」と私。
「みかんはむく。オレンジはむかない人もいるよ」とシェイニー。

欧米人が果物の皮をむかずに食べることは知られているけれど、
りんごはもちろんのこと、梨も巨峰も皮ごと食べる姿を確認済み。

ある日、シェイニーがオフィスに福島のお土産の桃を持ってきた。
桃の皮は???

それぞれに自分の席で(パーティションの向こうで)かぶりついていたけれど。
「桃の皮は食べないよね?」シェイニーに確認。
「皮ごと食べるよ!」
「・・・!?ごわごわっていうか、ちくちくっていうか・・・噛み切れるの?」
「皮がなかったら歯ごたえがなくておいしくないよ~」

歯のつくりが違うのでしょうか。

さて、話が逸れましたが、グラウンドに到着。
ぽんジュースを気に入った様子のフローリアンが、
「オーケー、誰か野球のルールを教えて」

野球をしたことは一度もないし、ルールもまったく知らないという。
「ほんとは一度観戦したことがあるかもしれないんだ。
でも小さかったから、野球だったかフットボールだったか思い出せないんだよね」

バッターは打ったらあのベースに走るのね、と説明を始めるシェイニー。
「今ストライクが3つになったでしょ、だからあの人はアウトなの」
へぇ、インタレスティングだね、と熱心に聞くフローリアン。

中国系カナダ人のゼンさんがバッターボックスに。
「初めてだよ。ルールも知らないし」とゼンさん。
「ノープロブレム!ゴー・ゼンさん!」とシェイニー。

控えめに振ったゼンさんのバットをかすって、ボールはゼンさんの足元に転がる。
駆け寄るピッチャーに、ボールを拾って差し出すゼンさん。
「ノー、ゼンさん!」
ボールを手にきょとんとするゼンさん。

バッターに送るシェイニーの声援は、
「グッアイ!グッアイ!(Good eye!)」(よく見て!)。
フォアボールを選んだ時も、
「グッアイ!」(よく見たね!)

それをまねて誰かが「ナイス・アイ!」と言うと、シェイニーがツボにはまって大笑い。
「それは言わないよ~!」

日の当たる一塁側は暑いほどの、気持ちのよい晴天。
「最初、11月にソフトボール大会って聞いた時、クレイジーじゃない!?と思った。
カナダで11月っていったらもうすごい雪だから」とシェイニー。

なるほど、と思った後で、
「10年日本にいるのに、今年来たばかりみたいにまた言ってる!」とふたりで笑う。

昨日のこと、シェイニーが、管理しているつくば在住の外国人向け情報サイトを模様替えした。
表紙はひまわりの写真。
「見て~。綺麗でしょ~?」とシェイニー。
「綺麗!だけど・・・どうしてひまわりなの?」
「どうして?」
「ひまわりは夏のお花でしょ。11月っぽくないから」
「え~、早く言ってよ~~~!!!」

花は一番苦手なの、とシェイニー。
「綺麗な花の絵のカードを見つけて、綺麗でしょ?って誰かに見せても、
『でも季節じゃないよ』って言われるでしょ。知らないよ、カナダ人だもん!」

ソフトボールはなかなかの好ゲームで、3-2で我が地球センターの勝利でした。