朝のTXで

少し寝坊して、いつもより1本遅いTXに乗りこむと、後ろから、
「つくば?」と声が。

振り返ると、アタッシュケースを持った外国人が
電車の行き先を私(か周りの誰か)に尋ねていました。

「はい、つくばに行きますよ」と英語で、私。
「何分かかる?」と日本語で、彼。

その後、自分は神奈川の海老名に住んでいて、
今日はつくばの友人を訪ねて初めてTXに乗るんだ、
快速があると聞いたけれど、これは快速ではないの?
などと質問を続ける人懐こそうな彼。

会話が一段落したので、バッグから本を取り出して開く私に、
「あの、話しかけてもいいですか?」と彼。

結局、研究学園駅までの50分、おしゃべりをして過ごしました。

彼はバングラデシュ人で、
20年近く日本に住んでいて、
海老名の相模川の景色が大好きで、
6年前に日本人の奥さんと離婚したのだとか。

「どうしてこんなことまで話してるんだろう?
今日初めて会ったのにね」
と流ちょうな日本語で言う彼。

ハンサムな人ですが、離婚してからずっとガールフレンドはいないのだとか。
「こわくなっちゃって。裏切られたから、信じるのが難しい」

「女性を?」
「そう。みんながそうじゃないってわかるんだけど。でもやっぱりこわいんだ」
「どういう人がタイプなの?」
「それも難しい。真面目な人、と思うけれど、前の奥さんも真面目な人だったし、
でもうまくいかなかったからね」

「僕、何歳くらいに見える?」と彼。
「どうかな、31とか32?」と私。
「もっとずっと上だよ。たぶんユカさんと同じくらいだと思う」

…私のこと、何歳だと思ってるわけ?

「ユカさんは昭和何年生まれ?」

「昭和で聞くの?」と思わず笑ってから答えると、
「マジで!タメだよ!」と顔をほころばせ、
「ほら、見てよ」とお財布から外国人登録証を取り出して、生年月日を示す彼。

日本人は若く見られるけれど、ちゃんと(?)年齢相応に見えていたのね、私。

「日本は気に入ってる?」と私。

最近、つくばに住む外国人の知り合いから、
「日本人はオープンじゃないから友達になれない。
観光には良いけれど、住むべきところではない。ここには人生がない」
と聞いたばかり。

私の質問にバングラデシュ人の彼は少し間を空けて、

「日本は安全。世界一安全だからね。それはとても重要でしょ?
みんなきちんとしているし、約束は守るし。
約束を守ることは人として大切だよね」

会社の上司や同僚は日本人なのだとか。
「じゃあ職場では日本語で会話してるのね?」
「そう。でもそんなには話さない。休憩時間はひとりでリラックスしてる」

日本で友達できにくくない?
と聞くのはやめました。

旦那さんと一緒に海老名に相模川を見に来て、と熱心に誘ってくれた彼は、
別れ際、

「本当に楽しかったな。こんなにいろいろ話したのは、日本に来て初めてだった。
本当に今までに一度もない。すごく不思議だな」。

いつもと違う通勤のひとときでした。
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(写真は、バングラデシュとはまったく関係ありませんが、
ウィーンで滞在したホテルの部屋の窓からの景色です)