「パスポートを探しています」

ネパール人ボスは、インド以外のすべての国にビザが必要です。

月に1、2回海外出張をするのですが、出張から帰るとすぐに、次に出張する国の大使館にビザを申請。

銀行の残高証明書だったり、
「あなたの国の法律と条約を遵守させます」という理事長名のレターだったり、
国によって異なる必要書類を揃え、パスポートとともに申請を代行する旅行代理店に送付する、
という繰り返しです。

今回のタイとフランスのビザも、出発までに間に合うか、かなりハラハラしましたが、
成田を発つ前日に無事にパスポートが戻り、ボスは旅立っていきました。

「でも、普通はネパール人がビザを取るのはもっと大変だよ」とネパール人同僚A。
(ボスは日本の政府系の組織に所属しているので、簡単にビザ申請が通っているようです)

poor countryなので、申請しても却下されることが多い、特にアメリカのビザは、
ネパール人が取ることは難しい、とのこと。

パスポートに"Rejected"だったか、"Applied"か、却下された証拠のスタンプが押されるけれど、
このスタンプが次の申請に悪い印象を与えるため、一度押されるとパスポートの再発行を申請して、
真新しいパスポートを手に入れようとするのだとか。

「パスポートをなくしたことにして、再発行の手続きをするんだけど、面白い決まりがあってね」とA。

新聞の「探しています」のコーナーに、
「いつどこでパスポートをなくして困っています。見つけた方は連絡ください」
という広告を出すことが条件で、広告が掲載された30日以降から、再発行の手続きが可能となるそうです。

「新聞には、『パスポートをなくしました』の広告がだーっと並んでるんだ。
電車でなくしただとか、路上でなくしただとか、ほとんど同じ文面で、名前だけが違って」

再発行申請のための広告ということは、言わずもがな。

「新聞社はgets moneyね。新聞社とパスポート・センターがつながっているんじゃない?」
冗談で言うと、
「そうなんだよ。新聞社はそれでかなりもうけてるんだ」

お国柄の事情による仕組みがあるものですね。