clicheなハート

NIESを去ってタイに行くCさんへの贈り物を選びに、Jさんとシェイニーと、西武とQ'tへ。

いつも身に付けられて印象的なネックレスにしよう、とジュエリーショップを目指しましたが、
個性の強い2人との買い物はなかなかインタレスティングでした。

「これは?」
「ノー!つまらない」
「ねぇ、これは?」
「そんなのどこにでもあるよ」

あちこちのお店を行ったり来たり。

何軒目かで、何か見つけたらしいJさんとシェイニー。
「これ、いい!」
「ほんとだ、これ、いいね!」
「ゆか、来て、これどう?」

良かった、やっとまとまりそう。

トカゲがブルーの石を抱いているペンダントヘッド。
「うん、いいと思う!印象的だし」

でもちょっと待って、とシェイニー。
「ゆかはトカゲ好き?」
「・・・トカゲ?好きではないけど・・・」
「Jはトカゲが好き、私も好き、ゆかは嫌い。Cはトカゲ好き?」
「・・・さぁ。でもモチーフだし、大丈夫じゃない?」
「そう言えば、Cは動物大嫌いって言ってた。ダメだ!」

立体的なハートの形のルビーを見つける。
「これ、かわいくない?」
「ほんとだ、かわいいね」とJさん。
「ノー!ハートはダメ!」とシェイニー。

ハートは恋人同士が贈り合うもの、ハートのペンダントをしていたら、
それはボーイフレンドからのプレゼントと決まっている、のこと。

「そうでなければ、クリシェだし。絶対ノー!」とシェイニー。

クリシェってなに?」と聞くと、
「日本語ではなんだろう。あっちにもこっちにも、どこにでもあること」

「ありふれてるとか、ありきたりとか?」
「アリキタリってなに?」
「ええと、きっと、クリシェなこと?」

『ありきたり』を辞書で引くと、"so typical"。
「うん、まぁ、そんな感じ」とシェイニー。

たとえば映画の中の舞台のシーンで、パラパラと拍手がおこり、やがて大きな拍手となって、
最後にはスタンディングオベーションの大歓声となるのもclicheだし、
たとえばプレゼントにマグカップを贈るのもthoughtfulではなく、clicheだし、とのこと。

あとで"cliche"を辞書を引くと、『クリシェ』、そして、『陳腐な表現、月並みな考え』。
日本語でもカタカナで使いますか?

さて、結局一番初めのお店に戻るけれど、これというものが見つからない。

「ねぇ、最初に行こうとしてた西大通り沿いのお店は閉まってたじゃない?
明日行ってみようよ」と提案するJさんに、

「私たちは散々時間をつかったし、私は忙しいからもう行けない。今決めるべきだよ」
きっぱりとシェイニー。

なんだか最後はばたばたと、真ん中に本当にささやかなダイヤモンドが埋め込まれた
スティック状のペンダントヘッドのネックレスに決まりました。