インドのしりとり

「日本人はコンサートに行ってもただじっと立ってるって何かで読んだよ。
だから僕は日本ではコンサートに行かないんだ」
「そうそう、じっと動かずに聴いてるだけ。有り得ないよね!」

そんな会話を交わしていたネパール人とカナダ人と、
それを興味深く聞いていたフィンランド人だったけれど、
U2のコンサートから帰ってきたカナダ人は、

「ぜんっぜん、ちがった!!!」

アリーナ席のシェイニーは、背の高いティーンエイジャーの男の子たちに囲まれて、
「みんなジャンプしたり、踊ったり、みんながステージに押し寄せるから、
あっちに押されて、こっちに押されて、もみくちゃになって、本当に大変だった!」

コンサートに行くのは最後にする、コンサートに行くにはtoo oldだってわかったよ、とシェイニー。

「日本人は小さいとみんな思ってるけど、日本の若い男の子なんて、ものすごく背が高いよね。
ひとりとかふたりじゃなくて、みんなこんなに高くてびっくりする!」と腕を目一杯伸ばすシェイニー。

「そうそう、日本に来る前はみんなこのくらい(自分の目のあたりを指して)かと思ってたけど、
特に若い人たちは背が高くてびっくりした」と小柄なネパール・ボス。

「日本では戦後、給食で牛乳を飲むようになったから背が伸びたんだよ」と説明するシェイニー。
「そうなの?」と私。
「そうだよ!」とシェイニー。

さて、税務署への問合せを手伝ってほしいと、ヴァイディアナサンさんが来室。
税務署からのコール・バックを待つ間、インド人の名前について面白い話を聞いた。

インドでは、代々伝わる名字を名乗ると、どのカーストの出身かが一目瞭然なので、
ファミリー・ネームを使わないとのこと。

父親のファースト・ネームが子供の名字になるという。

「へぇ~!interestingだね!じゃあ、たとえば、ヴァイディアナサンとユカが結婚したとするでしょ?」とシェイニー。
「あら。素敵ね」
「そうすると、あなたの名前は、ユカ・ヴァイディアナサンになります」とヴァイディアナサンさん。

ヴァイディアナサンは彼のファースト・ネーム。
つまり、夫の下の名前が、妻の名字となるらしい。

「ヴァイディアナサンさんとユカの子供が生まれたら?」とシェイニー。
「・・・」
「そうすると、子供のファミリー・ネームは、ヴァイディアナサンです」

となると、夫のファミリー・ネームというのは途絶えてしまうことになる。

「いいえ、大丈夫です。たとえば、私の名前、ヴァイディアナサンは私のおじいさんの名字です。
私の孫も、ヴァイディアナサンになります」

・・・なんだかもうよくわからない。
家計図を持ってきてもらわないと。

ヴァイディアナサンさんの名字は長すぎて覚えられなかったけれど、
たとえば山田太郎さんがいたとして、子供がひろしさんだとして・・・

(1代目)山田太郎
(2代目)太郎ひろし
(3代目)ひろし山田
(4代目)山田あきら
(5代目)あきらひろし

こういうことでしょうか。
なんだかしりとりみたい。しかも、2コマ戻る、とか、本当にinteresting。