インド人の日

世界一おしゃべりな国から、2か月間の期間限定でやってきたSさん。
インドでは大学の准教授です。

ワークショップにいろいろな国から講演者を招待する時に、
なんだかんだと面倒な要求をしてきて手間がかかるのは、
私の経験では、インド人と中国人と、アメリカ人の中年女性です。

11月のワークショップの準備で手一杯のところに、想定通り、
隣の席のインド人Sさんからのリクエストがなだれこんできます。

「車を買いたいんだ。一緒に中古車屋さんに見に行こう」と彼。
「車を買うのは手続きが大変だから、レンタカーにしたら?あとで調べてみますから」

そう応えて急ぎの仕事に戻ると、30分後には、
「レンタカー調べた?どうだった?」。

外国人登録をしたいから市役所に行こう」と彼。
「90日以内の滞在だから、登録は必要ないですよ」と私。
「いや、登録証があった方が、DVDを借りる時とか、簡単なんだよね」

なるほど、2年間日本に住んでいたことがあるので、
いろいろ詳しいのね。

「再入国の申請もしたいんだ。調べてみて」とSさん。
再入国の申請は水戸の入国管理局に行かなくては。

「再入国?2か月の間に日本を出てまた日本に戻る可能性ある?」と私。
「うん、韓国に旅行に行きたいし、アメリカに行くかもしれないし」

まずは外国人登録に市役所に行くと、あんなに念を押したのに、
奥さんの写真を1枚しか持ってこなかったというSさん。

「2枚ないと申請できませんよ」
がっかりした気持ちを隠して言うと、
「大丈夫だよ、係の人に1枚で済むように交渉して」と彼。

案の定、係の男性にあっさりと却下されると、
「しょうがない、午後にレンタカー屋が終わったらまた来ればいいさ」。

もうしかたない、今日は諦めて一日彼に付き合おう。

それでも来日前にお願いした通りに、日本に住んでいた時の年金手帳や
銀行の通帳を持ってきてくれて、とてもきちんとした人のようです。

「あなたはオーガナイズされた人ですよね。通帳や年金手帳まで
きちんと保管していたなんて」と言うと、

「3年前に日本を去る時、日本に必ず戻ってくると思ったからだよ。
日本が大好きだから、必ず戻りたかったんだ。

今回、妻子を連れてきたのは、彼らが日本を気に入ったら日本で職を得て、
ずっと住みたいと思っているからなんだ」

こういう言葉を聞くと、やはり親切にお手伝いしなくては、と思います。