GCP宛の郵便物の束の中に、私宛のカードが。
「シェイニー宛の手紙きてる?」とシェイニー。
「残念、きてないよ。でも見て、私にカードがきてる。なにかしら?」
「どれどれ?誰から?・・・マーガレット・チャンドラー?」
「私のママだわ」とパーティションの向こうから、クールなメラニー。
アカプルコの旅を終えて、メキシコ・シティの空港でメラニーと別れた。
メラニーはさらに数日の休暇を過ごすためにコロラドのお母様の家に、
私は日本に帰国。
メキシコ・シティの空港に向かう車の中、
「これ、メラニーのママに私からの日本のお土産、届けてもらえる?」
メラニーの荷物にならないように、日本で色鮮やかな風呂敷を選んだ。
「まあ。どうしてユカから私のママに日本のお土産があるの?」
「それは・・・私は日本から来たから・・・?」
メラニーがすべて計画し、手配してくれた今回の旅。
コロラドにも一緒に行こうと誘ってくれた。
長い休暇が取れずにコロラド行きは諦めたけれど、メラニーへの感謝の気持ちと、
90歳近いというお母様にお会いできなかった残念な気持ちを込めた、
ささやかなお土産だった。
3番目のご主人を亡くされて、今はおひとりで、お元気に暮らしているという
お母様からのカードは、とても綺麗なすみれ色。
素敵なスカーフをありがとう。
スカーフは大好きで、たくさん持っています。
メラニーとたくさん旅行をしたと聞きました。
私もメラニーとたくさん旅行をしたし、主人とも世界中を旅しましたが、
日本には行っていません。
いつも、行きたいと願っています。
マーガレット
なんてラブリーなのだろう。
直筆の文字を思わず撫でる。
旅行前の慌しさの中、カードもメッセージも用意できずに、お土産の包みだけを託した。
『メラニーはとても素敵な女性で尊敬しています。一緒に仕事ができて、とても幸せです』
それだけ添えれば良いことなのに、いつも後で自分の考えの足りなさを後悔する。
ペネロピに贈り物をした日本人が、ペネロピからのお礼のメールに、
「メールをありがとう」と返信してきたときのこと、
お礼のメールにお礼してきた、とアメリカ人の間で笑い話になっていた。
お礼のカードをくださってありがとう、と言いたい日本人の気持ちは置いておいて、
クリスマスの頃にコロラドのお母様にカードを送ろう。