ハンサム、ハカセ、マーティン

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産総研のマーティンがふらりとオフィスに遊びに来た。

電話貸して、とマーティン。
「あ、もしもし?私の友達はあなたのお店が大好きです。
友達はもうすぐ誕生日なので、あなたのお店の賞金をあげたいです。できますか?」

賞金?

「マーティン、商品券じゃない?」

2年前、来日する飛行機の中ですべてのひらがなの読み書きをマスターして
成田に降りたったというマーティン。
その半月後にはひらがなのメールを送ってきた。

『こんにちは!げんきですか?じゃあね、まーてぃん』

会うたびに、どんどん言葉が増えていく。
言語習得には才能というものがあって、
マーティンはとても才能に恵まれた人、と思っていた。

2年前の夏、マーティンとガールフレンドのイクちゃんとメラニーと、
富士登山した時のこと。
行きの電車の中で、時間を見つけては日本語のテキストを取り出し、
文法の勉強をしていたマーティン。いつもの陽気な笑顔はない。
才能と努力の人だった。

ご来光に向けて、富士山8合目で仮眠する。
雑魚寝の前に、畳の大部屋でおにぎりとお茶で休憩。
隣のテーブルの気持ち良く酔った様子の中年男性がマーティンを気に入って、
肩をばんばん叩く。

「おにいさん、ハンサム!ハンサムね~!」
「アリガトウ!」
「仕事はなにしてるの?」
「ワタシのシゴトはケンキュウシャです」
「研究者?すっごいなぁ!じゃあ博士?」
「はい、ハカセです」
ハカセ!ハンサム!ハカセ!ハンサム!」
「アリガトウ!」

さて、結局、先のお店は商品券の用意がないので無理とのこと。
「クレイジーだね」
呆れ顔のシェイニーとメラニー

メラニーによると、日本という国は商売をする気がまったくないらしい。
ペネロピの送別パーティーの会場探しであちこちお店を回った時のこと、
「50名ですか・・・。うちは30名までしかできないんです」
何度もそんなセリフで断られる。

「信じられない。アメリカだったら、30名までしかできなくても、
『できます!できます!』って引き受けるわ」

なるほど、そうかも。

「日本では、材料が終わったからできませんっていうじゃない。
アメリカなら大きい冷凍庫に食材は豊富にあって、
レストランに材料が足りないなんてありえないわ」

それも、そうでしょう。

さて、2週間後にはとうとうメラニーの送別パーティーだ。
今回はお店貸切ではなく、二の宮ハウスの集会室と中庭でのポットラック・パーティー

発起人3名とメラニーと、ネパール料理レストランのRajaで準備の打ち合わせをした。
買うものリストには、食料、飲料の他に、

テーブルクロス
テーブルに飾るキャンドル
テーブルに飾るお花

これはメラニーのアイディア。主役が一番よく気がつくのです。

面倒見がよくて、困っている人に親切で、
2年半の間、つくばに来ては去っていく人たちを迎え、見送ってきたメラニー
温かいパーティーで送り出せるといいな。

(写真は東京ドームで。タンクを背負うビール売りはアメリカにはないそうで、
「クール!」と大喜び。さらに、アメリカでは球場の売り子は若い男性の仕事と
決まっているそうで「重いですか?ダイジョウブですか?」と声をかけすぎるマーティン)