外国人が愛する牛久大仏

  ゆかちゃん、お昼、ひまですか?
  私とピーターはShakeysに行きます。
  行きましょうか?

マーティンから日本語でメール。

「どのピーター?」と私。
「さぁ」とシェイニー。

シェイニーと駐車場に車をとめると、真っ黒なサングラスのマーティンと、
コルクヘッズの常連のチェコ人ピーターも到着。

ジンジャエールとピザ、こんなジャンクなランチは久しぶり。
シェーキーズアメリカの会社です。知ってた?」とマーティン。
「もちろん」
どう見てもアメリカですよね。

つくばの実験植物園を知らないというピーターに、
「うそだろ?つくばにいて植物園を知らないなんて!」と大げさに驚くマーティン。
「牛久の大仏は行ったよ」とピーター。
「牛久の大仏はみんな行ってるよ!」とマーティン。

牛久(うしく)の大仏。
世界一の高さが売りで、謳い文句は「超高層大仏」。
入場料を払うと、首までか、胸までだったか、エレベーターで昇れるらしい。

私は行ったことないけど、と言うと、
「なんで!??」
ピザを手に3人が一斉に振り返る。

外国人はhugeな牛久の大仏が大好き。
アメリカ人同僚たちも、家族や友人がつくばを訪ねてくると、何はさておき、大仏を見に連れて行っていた。

「日本人は牛久の大仏は好きじゃないの」
「どうして!?」
「commercialだから。歴史もないし、本物じゃないと思ってる」
「はん?アメリカなんて、歴史のあるものなんて何もないわよ?」と言ったのはアメリカ人前ボス。

日本人としては、鎌倉や奈良の大仏を見てほしいけれど。

「鎌倉や奈良の大仏も見たけど、ふぅん、って感じ。牛久の大仏見ちゃってるから」

メラニーが2年半の滞在を終えて日本を離れる前の、最後のディナーを思い出した。
こぢんまりとした、雰囲気の良いフレンチのお店を選んだけれど、
アメリカではこういう小さいお店は絶対ないわ。おいしくて人気があればお店は大きいはずだし」

どうしても交わりあわない文化や価値観の違いというのもあるのだなぁと、感慨深くもあり・・・。

『こぢんまり』をスーパー実用辞書Eijiroで引くと、"small, little"。
伝えきれないですね。