「古いけれどまだ使えるので、使ってもらえないか」
そう言われてソバカルが年配の知り合いから譲り受けたという食器洗い機が、オフィスに届いた。
カナダ人的に言うと、「100年前の」食器洗い器。
扉も重く、発明好きな誰かが試しに作った食器洗浄装置、といった趣で、随分汚れてもいた。
持て余したソバカルは、処分したいとのこと。
「イントラに載せてみる?誰か、使いたい人がいないかしら?」
私の提案に、
「こんなの誰も使いたくないよ!」
声を合わせるソバカルとシェイニー。
市のゴミ処理場が高エネ研の近くにあるから持って行こうよ、とシェイニー。
「電話しておいた方がいい?コンビニで処分のためのチケット買うとか、何かしなくていいの?」と聞くと、
「ただ行って、申込書に記入して、粗大ゴミ置き場まで運ぶだけだよ」
つくばのことなら何でもシェイニーに聞いてください。
ソバカルの運転する車に初めて乗った。
日本の免許を取ったばかりのソバカルだけれど、噂に聞いていたほどcrazyな運転でもない。
「日本で運転するのはネパールよりずーっと簡単だよ」とソバカル。
「そう?」
「ルールを守って運転すればいいだけだから。ネパールでは誰もルールを守らないからすごく難しいんだ」
その間も、指導教官と化した助手席のシェイニーは、
「グリーンだよ。進んで!」
「もうウインカーは必要ない」
「誰も来ないよ。進んで!」
指示を出し続ける。
「センターラインが黄色い時は右折できないんでしょう?」とソバカル。
「・・・?右折はできる。追い越しが禁止なの」
「・・・そう。右折と追い越しが混乱してわからなくなるんだ」
思いがけないところで減速したり停止したりしながらも、20分のドライブの後に目的地に到着。
シェイニーの言う通り、廃棄の手続きは簡単だった。
事務所で簡単な申込み用紙に記入するだけ。
ソバカルの代理で日本語で氏名、住所と埋めていき、申込み日で手が止まる。
「ええと、今日何日だっけ?」
「10日です」と係の若者。
「ひゃくとうばんの日だよ!」とシェイニー。
リサイクルを切望していた持ち主の意図に反して残念だけれど、無事に食器洗浄装置を預け、
受け取りたい荷物があるというシェイニーに付き合って、帰りは郵便局に寄り道。
「そういえば、年賀状のくじの当選番号っていつ発表になるのかな?」
なにげなくつぶやくと、
「14日だよ」とまたシェイニー。
ブロンドの彼女が日本人に見えてくる。
今年もシェイニーに日本のことをいろいろ教えてもらえそうです。