震災から一年、横浜駅の地下街で

家と家族を失い仮設住宅に住む男性がインタビューに応えて、

「テレビでは、絆、絆と言っているけれど、
ここにいると絆は感じられないですね…」

と話していました。
そういう思いを抱かれることもあるだろうな、と、
納得できる言葉でした。

日常を失っていない私は、
お気に入りのチャオタイでパッタイのランチをして、

横浜の地下街ジョイナスで退職するEちゃんへの贈り物を選び、
いつものように買い物客で賑わうポルタを人をよけながら通り抜け、
間もなくそごうに入ろうかというところで、

「もうすぐ46分になるよ」
と、時計を確認する夫。

「じゃあ人の邪魔にならないところによけよう」
黙祷するために、人の流れから外れて柱に近づいた時でした。

「ポルタの全従業員に連絡します」
と、館内アナウンスが。

黙祷をするようにとの案内に続き、時報が鳴った瞬間、

地下街の人混みの中のすべての人がピタリと足を止め、
その場で黙祷を捧げていました。

あれだけの人が一斉に立ち止まり、しんと静まりかえった時間。
不思議な、そして、少し涙ぐんでしまうような光景でした。

「でもよくみんな、館内放送を聞いてたね」と夫。

雑踏の賑わいにかき消されそうな大きさの放送だったので、
聞こえたというよりも、みんながその時間を気にしていたのだと思います。

そごう入り口の前には上を見上げる人だかりがありましたが、
2時46分を待って、壁の大時計を見上げていたのでしょう。

いまだに、1日に7千万円の募金が赤十字社に届いているそうですね。

何も役に立てず、申し訳ない気持ちですが、
被災者の方々の気持ちに沿いたいたくさんの想いがあることが、
現地に届きますように。