宮殿のカフェで

職場でも、中国人は中国へ、スイス人はスイスへ、いち早く帰国していきました。

日本が好きで、何年も住んでいても、
やっぱり外国人は外国人かな、と思ったり…。

ネパール人ボスは一家で大分に避難中。
車で20時間かかったそうです。

日々、煙が出たとか、
20か国以上の大使館が東京を離れて大阪に避難しているよとか、
原発を心配したメールが大分から届きます。

***

ウィーン滞在中の日曜日、仕事はオフでしたが、
ホテルの部屋で、呆然として、
NHKのニュースを流すパソコンの前から離れられませんでした。

電話のベルに受話器を取ると、
「ハーイ、ユカ、Fだよ。会いに来たけど、降りてこられる?」

ウィーン在住のオーストリア人Fの明るい声。

「本当に大変なことになったね。心配な気持ちはわかるけど、
ここであなたが心配してもどうにもならないし、ここはウィーンで、
見るべきものがたくさんあるし、外の空気を吸いに行かない?」

アウディのワゴンの助手席のドアを開けてくれるF。

ホスピタリティ溢れるジェントルマンとして名高い彼は、
ハプスブルク皇帝の夏の離宮シェーンブルン宮殿に案内してくれました。

宮殿の敷地内の丘に建つ当時の社交の中心だった建物が、
今ではカフェとして使われています。
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世界一ゴージャスなカフェで、シャンパンとザッハトルテと、
クリームがたっぷり載ったウィンナーコーヒーをご馳走になりました。

「メディアが言うことはほとんどが間違いだから、実際に帰国してみたら
今伝わっていることとまったく違う状況だよ。
いい?情報を鵜呑みにしてパニックになってはいけないよ」とF。

Fがそう言っていたけれど、日本人はNHKの情報を信じている、
ヨーロッパでは違うの?

あとで在日10年を超えるヨーロッパ人の同僚に話すと、

「全然違う。ヨーロッパのメディアが言うことは、『ものすごい!』とか、
『すごくひどい!』とか、そういうことばかりで、ポエムみたい。

日本のメディアは、NHKは特に、きちんと数字を出して説明するし、
今わかっていないことはわかっていないとちゃんと言う。信頼できるよね」

日本のいろいろなことを、とても誇りに思います。
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