醜い花と、美人の花

石垣島2日目。
9時にホテルを出発して、ビーチ巡りの島内ドライブに。

まずは白保ビーチで海藻を取り、
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(母が「アーサーかな?」とホテルに持ち帰りフロントで尋ね、
「それは食べられません。肥料にしかならない海藻です」と
気の毒そうに告げられることになるのですが)

玉取崎(たまとりざき)へ。
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ハイビスカスに混じって風に揺れていたかわいらしいお花。
フウリンブッソウゲというそうです。
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そしてこれが、昨夜の天ぷらの大谷渡り(おおたにわたり)。
あちこちに自生しています。
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「実がなっていた木はなんですか?」
ホースで水やりをしていた小柄な老年の男性に聞くと、
「アダン。おいしいよ」
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食べるのは実ではなくて、葉なのだとか。
「こうしてかき分けると、中に新芽があるからそれを取って食べる。
天ぷらとか炒めものとか」

アダンの木もいたるところに見かけます。
今夜はアダンを食べてみよう。

「それはゲットーという。このへんじゃお餅を包むのね」
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変わった響きだと思いましたが、あとで「月桃」と書くと知りました。
このあと、月桃に包んで売られているお餅をあちこちで見かけました。

「あの木は何ですか?」
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海を見守るようにすくっと伸びた竹のような不思議な木。

「あぁ、あれは30年か100年に1回花が咲く」
「30年か100年?すごいですね」

「醜い花でさ。あまりに醜いから、朝咲いて夕方には散る。
あまりに醜いから人に見られないように、すぐに散る」

そんな、気の毒な・・・。

「これは花が咲いたらすごく綺麗さ」
足元の草をかき分けて指し示すところを見ると、すっとした葉の株が。

「白い花で、真ん中にまぁるい空洞があって、その中には何もない。
美人の中でも、しとやかで本当に綺麗な女の人みたいな花だ」

醜かったり美人だったり、お花の世界も大変そうですが、
この庭師の男性が恋い焦がれるかのような白いお花には、あとで、
別な場所で出会うことになります。

「独り身だから」というこの物静かな(でも実はとても饒舌な)庭師さん。
終戦の時には小学三年生だったとか。

「そこらじゅうの電柱に日本兵の首が5つとか、ぶら下げられていたからね。

女の人が芋を取りに行って戻らないと、『あぁ、米兵に連れていかれたな』とわかる。
奥さんを連れていかれた警察官が同じ集落にいてさ、仕返しに行ったけど、
帰ってこんから、みんなで警察官を探しに行った時には海岸で砂に埋められていた。

背中に短刀がささったままだったよ。
みんなで背負って帰ってきたけど、途中で死んでしまったよね」

こんな綺麗な島で、戦争があったのですね。

「島には隠れるところなんてないから、川のそばに穴を掘って隠れたよ。
米兵は水が怖いと聞いたからね。

でも実際はこうやって(両手をうえに挙げて、銃を横にして掲げる仕草をして)、
ここまで水に浸かって(胸のあたりを指して)、川を渡ってきたものね。
体が大きいから。

水が怖いなんて、デマだったんだよね」

3回目の沖縄離島の旅で、初めて戦争の話を聞く機会に出会いました。
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