メキシコ・シティ最後の夜

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9月8日。
今日で会議は終了。
閉会のスピーチでソバカルがメラニーと私の名前を挙げて、
参加者から「ありがとう」の拍手をもらった。
20ヶ国からの参加者はそれぞれ日常に戻っていく。
一週間、毎日顔を合わせ、声をかけあってきたので、とても寂しい気持ちになる。

夕方4時にホテルを出て、タクシーで30分、初の市内観光へ。

露天のメキシコらしいカラフルな帽子や、喉を鳴らす猫のおもちゃや、
スタンドの新聞の写真、面白いものを見つけると、
「これ見て」
と笑顔で振り返るリチャード。
デートなら良かったのに。総勢10人でぞろぞろ歩く。

中央の広場にはたくさんの政治デモの白いテント。
メキシコでは大統領選が終わったばかり。
混迷しているらしい。

花束を手にガールフレンドを待つらしき若者たちを見かける。
私の憧れのシチュエーションに、
「見て、メラニー。いいよね」
「メキシコではお花が安いのよ」

帰りは地下鉄を使うことに。
ホームは人があふれ、電車はぎゅうぎゅう詰め、2本見送る。

若い男性が席を立って、譲ってくれる。
そこに突然、大音量の音楽。
スピーカーを背中に背負った中年の女性が乗り込んできた。
呆然としていると、手には10枚ほどのCDが。
乗客の女性が手を上げて、CDを買う。

8歳ほどの女の子が乗客の10人に1人くらいの膝に、
緑色の丸いシールを貼りながら歩いていく。
隣の若者と目が合う。
「あれ、なに?」と私。
微笑む若者。

少女が戻ってきて、今度はアコーディオンを奏でる12歳ほどの少女を従えて歩く。
私の向かいに座っていた短い髪を立てた若者が、
少女たちの籠にコインを入れる。

シールの意味はわからないまま。

地下鉄を降りると、駅のタクシー乗り場には長い列。
そして雨。
リチャードが折りたたみ傘に入れてくれる。
40分ほど待って、やっとタクシーに乗り込んだ。
ホテルに着くと22時30分。
大人のグループはここで解散。
「明日は8時半集合ね、おやすみ」とメラニー

部屋に戻ってシャワーを浴びて、最後のメキシコ・シティの夜なのに、
このままパッキングをして寝るのはもったいないなと思い、Iさんに電話した。

「最後だし、少し飲まない?」
「いいですよ、今ちょうどパッキング終わったところで」
明日の朝4時にホテルを出て帰国の途に着くIさん。

ホテルのバーは賑わっていた。
少し、のはずが、結局2時30分までワインとテキーラでメキシコ滞在を振り返る。

「今回はなんだか日本、というか、アジアに帰りたくないんだ~。
こっちではみんな、目が合えばにっこりして”ハーイ”とか”オーラ”って言うし、
女性にすごく優しいでしょ。
日本に帰って、目が合わないようにすれ違ったり、エレベーターを
我先に降りるおじさんとか、見たくないの」

イギリス滞在の7年間でレディー・ファーストを習得したIさんはとてもスマート。
「それでもメキシコ人のまねはできないよ。
電車で若い男が女性に席を譲ったり、あの人たち、レディーファーストの
先をいってるでしょ、すごいよね」

会議に参加していた日本人を含むアジア人を見ていると、
アジア人はまったく国際舞台に立っていないんだなぁと感じた。
いろいろな場面で。
「内容はいいものを持ってるのに、表現力がなくてもったいないなぁって
すごく思うんだよ」とIさん。

途中、他のテーブルで何人かで飲んでいたリチャードたちが席を立って
部屋に帰る様子。
「あれ、そこにいたの?良い旅をね」とリチャード。
また会えるといいな。